さて今回の青山地区は、国道6号線水戸街道と常磐線に挟まれた三日月地形の上弦に位置します。
102-1青山の無量院の日記念仏塔
国道6号線青山台入口交差点の西500mに位置する無量院は、坂道を上り詰めた高台にあります。草創は不明ですが中世に堂庵が営まれた模様で、安永四年(1775)相馬霊場創設時には第65番伊予三角寺写しとされた来歴があります。山門はありませんが、入口に4基の地蔵と表面を剥離された石仏が並んでいます。
右端の地蔵坐像は台石に「三界萬霊」の文字が彫付けられている天明元年(1781)の造立です。左隣の背の高い宝永五年(1708)延命地蔵は背中に「時念仏日記念仏供養」の立派な文言を背負っています。時念仏に関しては日本石仏事典に「トキに斎の字をあて仏教では食事のことをさすから食事を伴った念仏講とも解せされる・・・茨城県利根町徳満寺に元禄14 年(1701)[時念仏始寛永元年・・・]と刻んだ時念仏塔があり・・・種子像容全てが湯殿山本地の大日如来であることから時念仏の源流が湯殿山に求めら れる」と記載があります。
一つおいた小ぶりの地蔵も宝永七年(1710)の日記念仏塔となっています。碑面右に「奉造立御日記供養為・・」の文字が読み取れます。日記念仏に関しては続房総の石仏百選で「・・女人だけを対象にした念仏で・・功徳を願って造立したのが日記念仏塔で・・千葉県内45基が確認されて・・市川市下矢田の寛文六年(1666)聖観音主尊の造立が県内最古で・・印西市永治地区の日記念仏唱本に正月十七日のオ念仏から師走十日のオ念仏までの記載・・」と町田氏が解説されています。亡くなられた榎本正三氏の著作に詳細記録があります。
さて、この地蔵さんの裏側に立派な如意輪塔など4基の石仏が並んでいます。
向かって左から寛文十年(1670)・天和三年(1683)の二臂如意輪塔です。
次に元禄十年(1697)大日如来像、元禄六年(1693)二臂如意輪観音像が並んでいます。如意輪観音塔には二世安楽の文言が共通しており多分十九夜塔ではないかと推察されます。台石に各々20名ほどの女性の名が刻まれています。迂闊にも最近気づいたのですが、女性名に全て「お」がついているのは女性呼称の接頭詞だということなんですね。だから人別帳には「とら」「まつ」と載っていて、日常会話に「おとら」さん、「おまつ」さんと呼んでいたんでしょう。??
さて参道左に大師堂がありその奥に新しい覆い屋が三室あります。向かって左から天保十二年(1841)弘法大師と地蔵の頭部がある区画、隣が年不明「奉追善阿弥陀如来一躰」の文言を刻んだ来迎印阿弥陀像、そして隣に正和元「?」(1312)阿弥陀三尊種子の武蔵板碑が置かれています。我孫子の出土板碑約80基のうち年代の分かる22基の中でこの板碑が最古のものと我孫子市史に書かれています。ちょっと見難いですが、大切に保管されて皆が見られるのは良いことです。他にも参道右手すぐに天保六年(1835)清瀧大権現石祠があり、大師堂裏に新しい馬頭観音塔なども見られます。
参道を挟んで大師堂と向かい合うのは、相馬霊場創設者・観覚光音の石堀御影図像を納めたお堂です。巻子のような棒に六字名号を墨書して奉納しています。
本堂手前左には現代風の角塔婆というのでしょうか柱状の石柱が建っています。刻まれているのは五輪塔のキャカラバアなので五輪塔かもしれません。右面の種子を見ると梵字右肩にクルッと筆が入っているので修行点と分かります。従ってこの面は南方修行門でキャー・カー・ラー・バー・アーと発音されますが、実際は北東方向を向いています??
下に刻まれた偈文は「六大無碍にして常に瑜伽なり。四種曼荼おのおの離れず。三大加持すれば速やかにあらわる。重々帝網なるを即身と名づく」と続き、空海の師・恵果の偈といわれています。(以上 石仏偈頌辞典より引用)
102-2八幡神社
無量院の東隣が八幡神社です。開発であちこちから移してきたのでしょうか、参道ぞいに石仏が点在しています。
我孫子の石造物所在地リストには24基の石仏がリストアップされています。
いくつかを紹介すると、参道左側・万治二年(1659)板碑型三猿庚申塔は高野山八幡神社の阿弥陀種子庚申塔と並び市内最古です。
参道右側に明和八年(1771)子育地蔵が赤子を抱いています。
参道左、石鳥居そばに元禄七年(1694)得大勢至観音二十三夜塔があります。等々、無量院とあわせて思わぬところに石仏ワールドが広がっていて楽しめるところです。
102-3 下ヶ戸の西音寺
我孫子の川村学園敷地の南方に位置しています。下ヶ戸青年館のそばで広い駐車場がある真言宗のお寺です。コンクリートで出来た本堂は、村有の灌漑池を日本電気の工場用地の一部として売却したお金で造ったという建設費の出所を明言していて興味深いものです。こちらには相馬霊場第七十四番写し石柱や大師堂・昭和3年善光寺阿弥陀供養碑が目に付く程度ですが。
石仏ロードは本堂右脇道沿いに続いています。西音寺石塔群として市史金石資料Ⅱに載っています。ブロックで区切られた区画に右端から庚申塔の行進?が始まります。天保四年(1833)・天保十二年(1841)文字庚申塔から始まり百番塔(出羽三山含)馬頭観音など15基を数えます。
写真は普門品講中が造立した文化二年(1805)聖観音像です。
102‐4下ヶ戸の八幡神社の庚申塔
西音寺の右脇道をすすめば八幡神社です。
明治の神社明細帳では天神社だそうで、合祀令で移ってきたそうですね。朱塗り?の木造両部鳥居の先に参道が続いています。何の変哲もないようですが、奥に進み拝殿近くから庚申塔や石仏のオンパレードとなってきます。文化八年(1811)山神宮石祠の隣に立派な青面金剛塔が2基並んでいます。
参道を挟んで大師堂と向かい合うのは、相馬霊場創設者・観覚光音の石堀御影図像を納めたお堂です。巻子のような棒に六字名号を墨書して奉納しています。
本堂手前左には現代風の角塔婆というのでしょうか柱状の石柱が建っています。刻まれているのは五輪塔のキャカラバアなので五輪塔かもしれません。右面の種子を見ると梵字右肩にクルッと筆が入っているので修行点と分かります。従ってこの面は南方修行門でキャー・カー・ラー・バー・アーと発音されますが、実際は北東方向を向いています??
下に刻まれた偈文は「六大無碍にして常に瑜伽なり。四種曼荼おのおの離れず。三大加持すれば速やかにあらわる。重々帝網なるを即身と名づく」と続き、空海の師・恵果の偈といわれています。(以上 石仏偈頌辞典より引用)
102-2八幡神社
無量院の東隣が八幡神社です。開発であちこちから移してきたのでしょうか、参道ぞいに石仏が点在しています。
我孫子の石造物所在地リストには24基の石仏がリストアップされています。
いくつかを紹介すると、参道左側・万治二年(1659)板碑型三猿庚申塔は高野山八幡神社の阿弥陀種子庚申塔と並び市内最古です。
参道右側に明和八年(1771)子育地蔵が赤子を抱いています。
参道左、石鳥居そばに元禄七年(1694)得大勢至観音二十三夜塔があります。等々、無量院とあわせて思わぬところに石仏ワールドが広がっていて楽しめるところです。
102-3 下ヶ戸の西音寺
我孫子の川村学園敷地の南方に位置しています。下ヶ戸青年館のそばで広い駐車場がある真言宗のお寺です。コンクリートで出来た本堂は、村有の灌漑池を日本電気の工場用地の一部として売却したお金で造ったという建設費の出所を明言していて興味深いものです。こちらには相馬霊場第七十四番写し石柱や大師堂・昭和3年善光寺阿弥陀供養碑が目に付く程度ですが。
石仏ロードは本堂右脇道沿いに続いています。西音寺石塔群として市史金石資料Ⅱに載っています。ブロックで区切られた区画に右端から庚申塔の行進?が始まります。天保四年(1833)・天保十二年(1841)文字庚申塔から始まり百番塔(出羽三山含)馬頭観音など15基を数えます。
写真は普門品講中が造立した文化二年(1805)聖観音像です。
102‐4下ヶ戸の八幡神社の庚申塔
西音寺の右脇道をすすめば八幡神社です。
明治の神社明細帳では天神社だそうで、合祀令で移ってきたそうですね。朱塗り?の木造両部鳥居の先に参道が続いています。何の変哲もないようですが、奥に進み拝殿近くから庚申塔や石仏のオンパレードとなってきます。文化八年(1811)山神宮石祠の隣に立派な青面金剛塔が2基並んでいます。
元文五年邪鬼はグー印 |
享保四年二童子二夜叉付 |
享保四年(1719)二童子二夜叉付青面金剛塔(右手は髑髏持ち?)と元文五年(1740)の二童子ショケラ持青面金剛塔です。彫りもよく朱色が残る状態が良いものです。その後も下の写真のように庚申塔の行列です。
又、宝暦五年(1755)の庚申燈篭があって「奉納青面金剛」の文字が嬉しいですね。
参道脇で手水舎が新造されていました。脇にある庚申講の奉納した寛政七年(1795)手水石はそのままで、新しい手水舎に自然石手水石が収まっているのは石仏ファンとしてはちょっと残念。
102-5 西音寺墓地の石仏
西音寺の道路南側に墓地があります。通路突き当たりに正徳二年(1712)丸彫延命地蔵がおられます。変わったものを見つけました。
通路左手で往時の下ヶ戸の様子を現したような石碑が建っています。川魚が跳ね、鶏がトキの声をあげるそんな環境だったのでしょう。墓石の蔭に安永五年(1776)の十九夜塔も見つけました。
そして、破損してはいますが二体の巡錫比丘立像・坐像を刻んだ文政十三年(1830)「病難除大師像」塔を発見。金石資料にも確かに載っていたものです。「いやー、一応は探してみるもんですねえ」
より大きな地図で 102 北総石仏 我孫子の石仏 青山・柴崎 を表示
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