2012/09/12

141 房総石仏二百選 県下最古の青面金剛(No.61)

7月8月と酷暑は石仏関係をお休みをしてました。英気を養ってと思っていましたが、体が想いに付いて行かない現実にびっくりですね。という訳でとにかく走り出そうと「房総の二百仏」巡りを綴ることにいたします。
平成11年に「房総石造文化財研究会」が「房総の石仏百選」を刊行しました。それに惹かれて筆者はこの研究会に入会したのですが、その後平成22年に「続房総の石仏百選」も刊行されました。併せて二百(選)仏になるわけですが、すこし軽め(エッセイ風)に「房総の二百仏」の現況を残しておこうと思います。震災の影響が残っているものもありますし、その後移転している石仏もあるので現況フォローの意味合いですね。
尚、表題項目に番号を付けておりますが1~100番は「房総の石仏百選」の付番で、101~200番は「続房総の石仏百選」の1~100番と読み替えてください。

141-1 千葉県最古の青面金剛(房総の石仏百選No.61)
所在地は野田市関宿台町の下町会館の隣が不動堂です。お堂前左手に7基の石仏が祀られています。


左から2基目は十五夜塔阿弥陀如来、隣が寛文三年青面金剛塔、右奥は貞享年代の阿弥陀塔
左から3基目が、県内最古の寛文三年(1663)六臂剣人青面金剛塔であります。よく見かけるのは右手剣と左手ショケラ持ちが多いのですが、こちらのように左手に輪宝を持つのは少ないですね。
寛文三年青面金剛塔、右は延宝五年ショケラ持青面金剛塔
ちょっと珍しい延宝五年(1677)十五夜塔阿弥陀如来

 平成21年に日本石仏協会主催第83回石仏見学会で「野田市・関宿城下の石仏」めぐりが行われました。その資料では「川底から引き揚げられた不動明王を本尊とする不動堂」と記されていますが、現在は無住のお堂がひっそりと建っているだけです。
見学会の資料から面白そうな石仏を記しておきます。
141-2 大竜寺の名号塔
お堂の道路向いが、浄土宗大竜寺です。幡随意上人によって天正六年(1578)に開かれたとか。幡随意上人に関してはWikipediaをご覧ください。
富士講小谷三志や徳本上人 らも宿泊した有力なお寺です。境内に、徳本上人の特徴ある名号塔が置かれています。詳しくは日本石仏事典P122に徳本念仏塔として解説があります。
徳本上人の丸に十の字の花押が見えます
裏面は利剣名号が彫られています
見学会の I 先生の説明では、利剣名号は「怨霊封じ」の功徳があるとかで、この石塔建立も若くして亡くなった家臣のために建立された経緯があるようです。
隣に 祐天上人の名号塔もあります。祐天上人に関しては祐天寺HP関係で閲覧できますが、増上寺住職で、町民や大奥にも行き仏とあがめられた名僧だったようです。
裏面の「南無阿弥陀仏」は鏡面陽刻
裏面の特異な鏡面彫りの意味が分からなかったのですが、先生の解説で「そのまま墨付けして採拓すれば、揮毫されたような六字名号が出来上がる」ので持ち帰り軸装し、朝な夕なに信仰していたのでしょう。なかなか、合理的!!と納得してしまいました。
関宿地区は他にも、 光岳寺の金銅仏・台町薬師堂の丸彫り虚空蔵菩薩・昌福寺の随求陀羅尼塔などがあって、ちょっとした石仏タウンですね。

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