2011/02/12

99E 八王子の石仏 後編

前編で市民球場辺りまでやってきました。これから駅方向へ戻りながら石仏を見て回りましょう。テキストは多摩石仏の会「新多摩石仏散歩」の[八王子市市街地の石仏]です。

99E-1直入院の五智如来
市民球場の南縁に沿って約400mで市民体育館の交差点です。ここから南東100mに緑町霊園があります。霊園入口には休憩所・トイレもあって小休止にぴったりです。霊園入口から入れば直入院門前に導かれます。
直入院の東門からの眺め
門を入った右手に大きな5体の石仏が並んでいます。左から宝生・阿閦・大日・阿弥陀・釈迦如来となっています。左2基が元禄四年(1691)、中央から右3基が延宝八年(1680)の造立です。五智如来の造立に関わる由来は解説板をご覧ください。
テキストにのっているそのままの解説が記載されています。五智如来についてはWikipediaをご覧ください。金剛界五仏ですがこちらでは観自在王如来=阿弥陀如来、不空成就如来=釈迦如来と同一視されています。埴輪のようなイメージの主尊金剛界大日如来の写真を載せておきましょう。

99E-2郷土資料館の石仏・道祖神
市民体育館の信号交差点にもどり、県道を600m北上し市民会館入口信号を入れば市民会館前に郷土資料館があります。正面入口の左右で建物沿い柵内に石造文化財(石仏等)が設置されています。
左に庚申塔・馬頭観音・二宮尊徳像も含めて10基、右に徳本念仏塔・市電の敷石・郵便ポスト・高尾山道標などもあって不思議な陳列です。石造物は荒れていて剥離が目立ち残念ですが、バラエティ豊かなものを見ることが出来る所と思います。
手摺に簡単な説明書が貼ってあるので、真近に実物をみながら確かめるのも面白いでしょう。
私見では郷土資料館は最も充実した石造文化財を見ることが出来る所と思いますが、いずれも館内の展示品となっていてHP掲載は難しいようです。
貴重な石造物を挙げておくので、興味のある方は館内実物でお確かめください。文和二年(1353)龍光寺の大名号板碑(南無阿弥陀仏)は一遍上人の時宗布教活動資料で貴重、文安五年(1448)龍源寺の月待三尊梵字板碑は地名資料として貴重、享保九年(1724)片倉村双体道祖神は男性が僧形、文化四年(1807)堀野内村地蔵のイ梵字刻印台石などが展示されています。郷土資料館は無料なので気軽に立ち寄ってみては如何でしょう。

99E-3 金剛院の板碑・念仏堂時の鐘
郷土資料館の北方50mの所に古義真言宗別格本山金剛院があります。 山門を入った左手の植え込みに立派な青石塔婆が立てられています。
建武三年(1336)銘を持つ弥陀三尊種子板碑ですが、状態が余りに完璧で模刻のように見えますがどうなんでしょう?本堂前に、光明真言を刻印した後生車や光明真言解説板があったりして勉強になる所です。
金剛院と道を挟んで東方が念仏院です。
元禄十二年(1699)鋳造の「時の鐘」はここで八王子町民に時を告げていたそうです。

99E-4法蓮寺と本立寺
 時の鐘念仏院から西100mで法蓮寺と本立寺が並んでいます。法蓮寺の青面金剛塔は剥離が激しく見るも無残です。代わりに見つけたのが「源以寧の墓」で台座が亀趺ならぬ牛趺になっていて目が点になりました。以寧(いねい)は八王子千人同心組頭で医業のかたわら庶民の救済も行い、書道の師としても門弟500人といわれた人物です。筆子塔といえるでしょう。
お隣の本立寺は七福神巡りの毘沙門で賑わっていました。日蓮宗のお寺のためか、石仏は同宗で良く見かける浄行菩薩2体がおられるだけでありました。このお寺には蝦夷地御用を勤め八王子千人同心を北海道に移住させた同組頭 原胤敦の御墓があります。

99E-5観音寺の石仏
本立寺の東にある市立第三小学校から南に折れると、高台上に観音寺があります。門前に「この山門は千人頭中村左京の屋敷門を移築した」と解説板があります。
境内左方に文化三年?文字庚申塔・文政二年光明真言塔・年不詳延命地蔵塔・文政二年木食観正の梵字ア字塔が並べられています。
その後方に剥離の進んだ笠付庚申塔がありますが、これがガイドに載っていた阿弥陀如来主尊庚申塔(元禄七年)なのでしょうか?

99E-6興林寺の弘安板碑
観音寺から北東200mの八王子税務署となりが興林寺です。山門を入って参道左・覆い屋の中に板碑が置かれています。
弘安六年(1283)阿弥陀梵字板碑で下に刻まれた大日三種悉地真言は貴重であると解説板に載っているので読んでおきましょう。
 この板碑の先に阿弥陀如来を中心に大きな六地蔵が並んでいます。
圧巻ですね。余分ですが、本堂唐破風屋根の正面飾りの天女像彫刻が立派なので載せちゃいましょう。
以上で八王子市街地の石仏巡りを終え、次回は北総石仏・我孫子に戻ることとしましょう。

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