2012/06/13

137E 銚子の石仏 上


日本石仏協会編「石仏地図手帖千葉編」は出版されてから20年経ちますが、筆者の石仏めぐりの良きガイドマップです。4年前にまわり残していた銚子の石仏を、久しぶりに巡ってきました。その完結編の意味で簡単に記しておきましょう。順番はガイドブックの順に揃えました。以下、資料引用は石仏地図手帖に拠ります。
千葉県房総半島の東のはずれが銚子市です。江戸時代17世紀後半から東北の産物の江戸への廻船基地として銚子は栄えました。又、紀州からの漁業と醤油製造技術の伝来が銚子の名産となりました。ヒゲタとヤマサは銚子の二大醤油ブランドです。 豊かな経済力と利根川舟運に支えられた信仰などが石造遺物に見られるようです。

137E-1 賢徳寺の善光寺三碑
関東の最東端である犬吠埼から西方1kmのところに天台宗賢徳寺があります。
山門入り右に善光寺三尊碑が祀られています。善光寺式阿弥陀三尊の形式を踏まえて両脇侍は梵篋印を結んでいるようです。詳しい形式はWikipediaでどうぞご覧ください。
 又、境内に子安観音の勢ぞろいもあって女人講の強さも感じられます。
別に階段斜面を利用して西国三十三所観音石仏も奉納されています。
正面は西国二十七番書写山円教寺写し観音です
 墓地に変わったお墓?を見つけました。
何でしょうか?高山右近太夫?大統領?将軍?
キリノ大統領はフィリピンの第6代大統領ですが、それが何か?

137E-2 都波岐(つばき)神社の庚申塔
賢徳寺の北方1kmのところ、溝状の道路が坂道になったところに 都波岐(つばき)神社があります。石垣につけられた急な石段を上れば狭い境内にびっしりの庚申塔です。
 その数250基といわれていますが、百庚申があるのでそれではきかないでしょう。元文五年(1740)の庚申年に塚が作られ、以後60年の庚申年毎に式年祭が行われ、昭和55年(1980)にも第5塚が築かれたそうです。
 社殿は立派な彫刻を施した板戸で、龍と闘う神様の浮き彫りが施されています。
都波岐(つばき)神社の祭神は猿田彦大神です。全国の総元締めは椿大神社で三重県鈴鹿市に鎮座します。他方、同じく鈴鹿市一ノ宮町に 都波岐神社があってこちらが式内社の本家を争っているようです。当社は伊勢国都波岐神社から勧請されてきたのでしょう。

137E-3 飯沼観音円福寺
銚子電鉄観音駅の北に飯沼観音があります。坂東三十三所第27番札所です。
正徳元年(1711)建立の青銅製阿弥陀如来坐像が立派です。
石仏は、円福寺の本堂側墓地に天和三年(1683)庚申塔や子安観音があるようですが、筆者の記録データには残っていません。誤って消去してしまったようです。残念。
代わりに、 円福寺にある県指定文化財・享徳十一年(1462)梵鐘の解説板を載せておきます。
137E-4 白幡神社の庚申塔
銚子市役所から500m東方に白幡神社があります。境内社殿の後ろに石仏が窮屈に固まっています。後列中央に銚子最古の延宝八年(1680)庚申塔と、奥州仙台石巻の船乗りが明和三年に寄進した庚申塔が祀られています。
左は延宝八年で右は明和三年・仙台石巻春日新艘十五人乗舩中で寄進
豪華に二童子・四夜叉付きの庚申塔は明和九年(1772)造立です。
台石下の三猿も変わっています
庚申塔に交じって珍しい八幡大神の石像があります。紀年不明ですが、「房総の石仏百選」にも選ばれた希少品です。
八幡大神、馬乗り馬頭観音と間違えそうです
137E-5 威徳寺の子安観音
銚子駅南100mに広い境内の威徳寺があります。
 墓地に向かって子安塔と庚申塔のグループが並んでいます。

天明二年の二童子四夜叉付青面金剛庚申塔と、元禄十一年十九夜塔は未確認です。ちょっと密植しすぎで後列の石仏が写真に写せません。

137E-6 持宝院の六面石幢
利根水郷ライン国道356号線沿いに市立第五中学校があります。国道を越えて北東方向200mのところに真言宗智山派・青光山院持宝院があります。平安後期の木造薬師如来が銚子市の有形文化財に指定されています。入口そばの十九夜塔の団体がお出迎えです。
覆い屋の左半分の十九夜塔群

覆い屋の右半分

脇にある二十三夜様馬頭観音など
 女人講中に圧倒されて、肝心の弘治二年(1556)の地蔵六面石幢は見逃しました。残念!!

137E-7 海上(うなかみ)八幡宮の庚申塔
国道を1.5km西進すると柴崎町交差点のY字路にでます。すこし先の分岐から200mの参道が海上八幡宮まで続きます。
正面本堂は千葉県指定文化財です
本社の由来と天和三年建立の豪華な本堂の解説
二重虹梁・本蟇股・脇障子・擬宝朱高欄・唐獅子木鼻彫刻で豪華
肝心の庚申塔は本堂の左方の木立の中にまとめられています。
連なるのは万延元年(1860)百庚申
明和元年から万延元年・昭和55年までの庚申塔10基です。地震で倒れたものもあって惜しいですね。
お猿さんが楽しいので載せておきます。
日光型に似た左右猿が手を伸ばす形

左右猿が踊っているのでしょうか?
左右猿は後ろ向き

右猿だけが後ろ向き
左猿は振り返っています
最初の日光型に近いですが、みんな聞か猿にみえますね
重くなると大変なので、ここらで一区切りとしましょう。


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