2010/06/05

78北総石仏 柏・旧沼南町の石仏(塚崎)

旧沼南町もこの塚崎と大津ヶ丘・大井を残すだけになりましたが、結構大物ぞろいで整理が大変ですね。話は逸れますが、最近ソニーのGPS付デジカメを使い始めました。ソニーで提供しているPMBというブラウザーで読み込むと、グーグルmapに対応した撮影場所で方向付の写真表示をしてくれます。道端や農地・山間の石仏探索には強力な道具となります。探索場所の整理でお困りの方にお勧めです。

78-1神明社の石鳥居と石祠群
塚崎地区の鎮守が神明社です。地区を南北に走る県道8号船取線の東側に広がる緑の小山が神明社です。県道から宝暦三年の急な石段を上ると明治八年建立拝殿がすぐ近くに見え、沼南の名刹との由緒に違和感をかんじるのですが・・・。途中平成天皇ご即位10年記念の参道改修で現代的な燈籠12基も並んでいます。ところが境内に踏み入ると奥深い広がりにサプライズです。享保十八年(1733)再建の三社殿は拝殿の奥に透き塀に囲まれて全容を拝むことが出来ません。御正殿を中心に左右に八幡社と春日社を配しているそうです。詳しい解説板をじっくりお読みください。解説に出てくる石鳥居奉納者・藤原正珍=ふじわらまさよしと読みます。石鳥居の丁寧な解説板もお読みください。神明鳥居の左柱にある刻字は大きくて解説文「宝暦七年(1757)・・・舊領」までは画像拡大でも確認することが出来ますね。この神明鳥居は柱にやや転び(ころび=柱上部で八字形に内側傾斜)があって変形外宮鳥居だとガイドには細かいことが載っています。石鳥居写真の後方に玉垣が見えています。天保五年(1834)54村約950人の寄進であるそうです。写真のような感じで縁石にぐるっと記されています。右側の境内には明治35年建立の神楽殿が建ち傍らに十二座神楽の解説があります。
とにかく由緒あるんですよと昔の教育委員会のお仕事が良く分かります。神楽の古さを傍証するのが左側の境内にある寛文九年(1669)手水石で碑面の文言が「・・・庚申待成就・・・」などと解説板に詳しく載っています。庚申待成就の文言に惹かれますね。右側境内を進んでいくと子神社に詣でます。塚崎新田にあった子神社は明治41年頃当時の「浅間神社・琴平神社・白幡神社・厳島神社・面足神社」に合祀した経過があるようです。写真では子神社の左側は10のお堂が並び中に種々の石祠祀られています。明和七年(1770)大六天・宝暦六年(1756)白幡神社・年不明牛頭天王・金比羅宮などなどですが、三社殿に隠れて寂しい感じがします。他にも大正四年後即位記念碑・宝暦七年大六天等が所々に祀られています。
一方、左側境内は子安社・大杦社(おおすぎ)・天明三年(1783)痘疹守護神石祠・猿田彦社などが点在しています。種々の石祠を見ていると、塚崎の住民が仏教に取り込まれる以前から、この土地は村人の願いを受け入れる神々がここに集まった八百万相談所であるような感じがします。

78-2寿量院の十九夜塔と庚申塔
神明社から県道8号を左に逸れて約1km北西に真言宗豊山派のお寺無量山長福寺寿量院があります。まっすぐ伸びた参道は先ほどの神明社に向かって一直線に伸びています。江戸時代までは神明山寿量院と号し住職が神明社の別当を兼ねていたといわれ深い関係があるようです。長い参道の入り口左に昭和52年鶏魂供養之塔がH肉店のよって建てられています。飾りに置かれたチャボのような鶏が元気よく尾を上げています。参道進むと急な石段がありますが、その上り口手前に十九夜如意輪塔・庚申塔などの石仏が並んでいます。石段右手前から延宝六年(1712)・正徳二年(1712)の十九夜如意輪観音、正徳四年(1714)二手金剛庚申塔と続きます。この二手金剛は石仏研究ハンドブックで石川博司氏が「二手青面の系譜」で図60で掲載されているものです。文化三年(1806)湯殿山主尊の出羽三山塔、角柱の文化六年(1809)青面金剛文字塔の5基が並んでいます。
参道に向き合う3基は左から宝永六年(1709)如意輪観音の念仏塔です。真中は明和二年(1765)十九夜講と刻まれた如意輪観音塔です。右の十九夜塔は文化四年(1807)角柱型で如意輪観音を頭部に浮き彫りしたものです。石段左は寛文五年(1665)板碑型三猿付の庚申塔で沼南では初期の古いものだそうです。久々に十九夜塔の集団に出会えたのでいろんなお顔を載せて置きましょう。
延宝六年
正徳二年
正徳四年二手庚申
宝永六年
明和二年
文化四年
寛文五年
年不明

石段を上る途中に慶応三年(1867)成田山講中の不動明王が立っていて、上りきればコンクリート造りの斬新な本堂があります。左手にはし明治・昭和の出羽三山塔などが建っています。奥に進むと年不明の馬頭観音のような青面金剛塔や昭和32年の三猿塔(多分庚申塔)なども点在しています。大師塔や観音巡礼塔が点在しています。市指定天然記念物・玄圃梨(げんぽなし)の大木もあるので見ておきましょう。78-3宗賢寺の髭題目
寿量院の北方500mにある日蓮宗のお寺です。失礼ながら、日蓮宗では石仏は不作でして目に付くのはお題目塔ばかりです。延享元年(1744)の髭題目が立派なのでアップしておきましょう。ついでにお題目をWikipediaで確認しておきましょう。

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